AI顧問・AIコンサルの相見積もりを取ると、月5万円の会社もあれば月100万円の会社もあり、「何を基準に選べばいいのか分からない」となりがちです。これは感覚の問題ではありません。中小企業基盤整備機構の実態調査では、「適切なベンダーや製品を選定する情報が十分にある」に当てはまらないと答えた企業が79.8%にのぼっています。判断材料が足りていないのは、あなたの会社だけではありません。

結論から言うと、価格差の正体は月額に含まれる「稼働時間」の差です。時間単価そのものは、アドバイス型でも伴走実装型でも大きく変わりません。この記事では、類型別の相場表に加えて、手元の見積書を同じ土俵に載せて比較するための計算方法まで解説します。

AI顧問・AIコンサルの費用相場【早見表】

中小企業向けのAI顧問・AIコンサルは、大きく4つの類型に分かれます。カテゴリ全体では月5〜100万円超と幅がありますが、同規模の会社向けの中心帯は月10〜30万円です。

AI支援サービスの類型別・月額相場と稼働時間の目安
類型月額の目安月の稼働時間の目安実質時間単価(試算)何をしてくれるか
アドバイス型
AI顧問
5〜15万円 3〜6時間 約1.7〜2.5万円 定例ミーティングとチャット相談が中心。助言はもらえるが、手は動かさない
ツール導入支援 初期20〜80万円
(スポット)
案件ごと — 特定ツールの設定・初期構築。導入後は自社で自走する前提
伴走実装型
(アクセルAIなど)
20〜50万円 15〜30時間 約1.3〜1.7万円 プロンプト・テンプレート・自動化の仕組みを作り、業務に埋め込んで定着まで見る
大手コンサル 100万円〜 30〜50時間 約2〜3.3万円 全社構想の設計、複数部門の調整、推進体制の構築

※ 各社の公開料金と相見積もりで見かける水準をもとにした目安です。稼働時間は月額に含まれる作業量の一般的な範囲で、契約内容により異なります。実質時間単価は、同じ会社のプランでは価格と稼働時間がおおむね比例して増えるため、金額の下限と時間の下限、上限と上限を対応させて計算しています(例:5万円÷3時間=約1.7万円、15万円÷6時間=2.5万円)。

「AI顧問」という月額契約の形態そのものについては、AI顧問とは?月額で実際にしてくれることと、契約前に知るべき違いで詳しく解説しています。

月額を「稼働時間」に割り戻すと、比較できる

ここが、相場表を眺めているだけでは見えない部分です。上の表の「実質時間単価」の列を見てください。類型が違っても、時間単価は1.3〜3.3万円程度のレンジに収まっています。

つまり、月8万円のAI顧問が「安い」のは、時間単価が安いからではありません。月3〜6時間ぶんしか含まれていないからです。同じ理屈で、月40万円が「高い」のではなく、月20〜30時間ぶんの作業が含まれているだけです。

計算式はこれだけです。

計算式

月額 ÷ 月あたりの想定稼働時間 = 実質時間単価

例:月30万円 ÷ 20時間 = 1.5万円/時。月8万円 ÷ 4時間 = 2万円/時。

この計算をすると、相見積もりの比較が一気に楽になります。3社の見積もりを、次の3列に書き換えてみてください。

相見積もりを同じ土俵に載せるための比較シート
比較する項目A社B社見るポイント
月額 8万円 30万円 ここだけ見ると3.75倍の差
月の稼働時間 定例2回(計2時間)+チャット対応1〜2時間
=計3〜4時間
20時間 差の正体はここ
実質時間単価 約2〜2.7万円 約1.5万円 単価ではB社のほうが安い
成果物 議事録・助言 プロンプト・手順書・自動化の仕組み 「動くもの」が残るか

稼働時間が書かれていない見積もりの読み方

実際には、稼働時間を明記しない見積書も多くあります。その場合は次のように聞けば、ほぼ確実に答えが返ってきます。

  • 「定例ミーティングは月何回・1回何分ですか」
  • 「ミーティング以外の作業時間は、月どのくらい想定していますか」
  • 「その時間を超えた場合はどうなりますか(追加費用か、翌月繰越か、対応しないか)」

この3つに具体的な数字で答えられない会社は、月額の根拠を持っていないか、実作業を想定していない可能性があります。逆に、時間の目安を即答できる会社は、自社の工数を把握して価格を決めています。質問への答え方そのものが、最初の判断材料になります。

AI顧問・AIコンサル・AI研修・受託開発の違い

相見積もりで並ぶ会社は、そもそも売っているものが違うことがあります。呼び名が近いだけに混ざりやすいので、整理しておきます。

AI支援の4形態の違い
形態費用の形残るもの向いている状態
AI顧問 月額 判断の後ろ盾・助言 社内に動ける人がいて、方向性だけ確認したい
AIコンサル
(伴走実装型)
月額+初期 実装物と定着した業務手順 AI担当がおらず、手を動かす人から必要
AI研修 1回・1名あたり 社員のスキルと共通言語 使う人を増やしたい。業務は自社で設計できる
受託開発 プロジェクト一括 システム・ツール 作るものが仕様レベルで決まっている

よくあるミスマッチは、「AI顧問」を契約したのに「実装まで任せられる」と期待してしまうことです。商工中金の調査では、生成AIの導入検討フェーズで最も多い課題が「導入を推進する人材がいない」(32.0%)でした。推進する人がいない状態でアドバイス型を契約すると、助言は増えるのに何も進まない、という結果になりやすいのです。

月額以外にかかる費用

月額だけで総額を判断すると、あとで想定が崩れます。見落としやすいのは次の5つです。

  • AIツールのライセンス料 — ChatGPTやGeminiの業務用プランで1人あたり月3,000円前後。人数分かかるため、20人なら月6万円規模になります
  • API利用料 — 自動化の仕組みを作る場合、使用量に応じた従量課金が発生します
  • 初期設定費・オンボーディング費 — 初月のみ月額の1〜2ヶ月分を別途請求する会社があります
  • 月額の範囲を超える追加作業費 — 時間単位(1〜3万円/時)での加算が一般的です
  • 既存システムとの連携開発費 — 基幹システムや顧客管理ソフトとつなぐ場合、別プロジェクトになります

相見積もりでは、この5項目が「月額に含まれる」のか「別料金」なのかを必ず文書で確認してください。ここが曖昧なまま契約すると、3ヶ月目に想定の1.5倍になることがあります。

費用対効果の損益分岐点を計算する

費用対効果は、削減できた作業時間を人件費に換算するのが最も分かりやすい方法です。人件費は給与だけでなく社会保険料の会社負担分も含むため、年収480万円の社員なら実質の時間あたりコストは3,000円になります(480万円 × 1.2 ÷ 12ヶ月 ÷ 160時間 = 3,000円)。自社の水準に置き換えて計算してください。

この時給3,000円で、月額別の損益分岐点を出すとこうなります。

月額別・作業時間削減だけで元を取るために必要な削減時間
月額必要な削減時間/月現実的な難易度
8万円 約27時間 1業務の効率化で十分に届く
20万円 約67時間 複数業務・複数人に広げないと届かない
40万円 約133時間 社員1人ぶんに近い。時間削減だけでは正当化しにくい

ここが、多くの記事が書かない部分です。月20万円を超える支援を「作業時間の削減」だけで正当化するのは、実はかなり難しいのです。月133時間の削減は、社員1人の稼働の8割に相当します。1業務のAI化では届きません。

ではどう考えるか。中小企業基盤整備機構の調査では、AI導入の効果として「付加価値創出」を挙げた企業が22.3%で、従来のIT活用(7.4%)を約15ポイント上回っています。AIは時間削減以外の場所にも効くという結果です。

したがって、月20万円以上の支援を検討するなら、時間削減のほかに売上側の指標を1つ以上置くのが妥当です。見積り作成の一次ドラフトをAIで作るなら「作成時間」だけでなく「提出件数」と「受注率」を、問い合わせ対応なら「返信までの時間」と「商談化率」を並べて見ます。指標の置き方は生成AIが社内に定着しない4つの理由と立て直し方でも触れています。

アクセルAIの提案パッケージは、含まれる作業範囲と含まれないことを全て公開しています

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安すぎる見積もりの構造

実質時間単価が1万円を大きく下回る見積もりが出てきた場合、その価格が成り立つ構造がどこかにあります。悪い会社だと決めつける必要はありませんが、確認はしたほうがいい部分です。

  • ツールの販売手数料が別収入になっている — 特定ベンダーの紹介料が収益源だと、自社に合わないツールを勧められる可能性があります
  • 実作業が再委託されている — 窓口だけの契約で、実際に手を動かす人と話せないことがあります
  • 初月だけ安く、実装は別見積もり — 月額に含まれるのが相談のみで、動くものを作る段階から追加費用になります
  • テンプレートの一律提供 — どの会社にも同じ資料を渡す形なら安くできますが、自社の業務には合いません

いずれも、次の7つの質問で見分けられます。

契約前に確認すべき7つの質問

相見積もりの際、次の質問で「相談型」か「実装型」か、そして価格の根拠があるかを確認できます。

  • 成果物は「資料・助言」ですか、それとも「動くプロンプト・仕組み」ですか
  • 導入後、誰が実際に手を動かして実装しますか(自社ですか、御社ですか)
  • 月額に含まれる稼働時間は、月どのくらいを想定していますか
  • 効果測定は「利用回数」ですか、「業務時間・件数・受注率」などの事業指標ですか
  • 特定ツールの販売手数料・紹介料が価格に含まれていますか
  • 月額の範囲を超える追加作業が発生した場合、事前に見積もりが出ますか
  • PoC(お試し)から始められますか、初めから年間契約が前提ですか

※ 3番目は今回の記事で追加した項目です。稼働時間を聞くだけで、比較の精度が大きく上がります。

補助金で実質負担を下げる

支援の内容によっては、デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)や中小企業省力化投資補助金の対象になる場合があります。ただし補助対象はツール費用が中心で、コンサルティング費用がどこまで対象になるかは制度と申請枠によって異なります。「補助金が使えます」という説明を受けたら、対象になるのは月額のどの部分かを具体的に確認してください。

制度ごとの補助率・上限額と、申請前に決めておくべき順番はAI導入に使える補助金 2026年版にまとめています。なお中小企業基盤整備機構の調査では、必要な公的支援として「導入費用などの助成」(77.9%)に次いで「導入事例などの情報提供」(70.5%)が挙がっています。お金より先に、判断材料が足りていない状況が数字にも表れています。

向いている会社・向いていない会社

月額の伴走実装型が合うかどうかは、金額よりも社内の状態で決まります。

伴走実装型が向いている会社と向いていない会社
状態おすすめ
向いている AI担当がいない/推進役が兼任で手が回らない/過去に導入して定着しなかった 伴走実装型。まず1ヶ月のPoCから
向いていない 社内にAIを触れる人材がいて、方向性の壁打ちだけ欲しい アドバイス型AI顧問(月5〜15万円)または単発相談
向いていない 使う人を増やしたいが、業務設計は自社でできる AI研修
向いていない 作るものが仕様レベルで決まっている 受託開発に直接依頼

迷ったら、まず1ヶ月のPoCで確かめる

相談型・実装型のどちらが自社に合うか判断がつかない場合、いきなり年間契約を結ぶ必要はありません。1つの業務に絞った1ヶ月のPoC(お試し支援)で、実際の進め方・成果物・相性を確認してから本契約に進む方法があります。中小企業のAI導入は何から始めるべきかで解説した「1業務に絞って小さく試す」進め方は、コンサル選びそのものにも当てはまります。

よくある質問

相談・助言が中心のアドバイス型で月5〜15万円、実装まで手を動かす伴走型で月20〜50万円、全社構想から入る大手コンサルで月100万円以上が目安です。中小企業向けの中心帯は月10〜30万円です。金額の差は時間単価の差ではなく、月額に含まれる稼働時間の差でほぼ説明できます。

含まれる稼働時間が違います。月額を想定稼働時間で割ると実質時間単価は1.3〜3.3万円程度に収まり、類型が違っても大きくは変わりません。安いプランは単価が安いのではなく、月3〜6時間ぶんしか含まれていないため、実装作業を頼むと範囲外になります。

AIツールのライセンス料(1人あたり月3,000円前後)、API利用料、初期設定費、月額の範囲を超える追加作業費、既存システムとの連携開発費などが別途かかることが一般的です。月額に含まれる範囲と別料金になる範囲は、必ず文書で確認してください。

対応している会社が多く、1回数万円からが目安です。ただし単発相談は方向性の確認までで、実装や定着は月額契約の範囲になるのが一般的です。まず単発相談か1ヶ月のPoCで進め方と相性を確かめてから月額に進む流れが、失敗しにくい選び方です。

人件費を時給3,000円と置くと、月8万円の支援なら月27時間、月20万円なら月67時間、月40万円なら月133時間の削減が損益分岐点です。月20万円を超える支援を作業時間の削減だけで正当化するのは難しいため、受注率や対応件数など売上側の指標を1つ以上あわせて設定してください。

支援内容によっては、デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)や中小企業省力化投資補助金などの対象になる場合があります。ただし補助対象はツール費用が中心で、コンサルティング費用がどこまで対象になるかは制度と申請枠によって異なります。詳しくはAI導入に使える補助金 2026年版をご覧ください。

6ヶ月から1年の最低契約期間を設ける会社と、月単位で解約できる会社の両方があります。縛りがあること自体は問題ではありませんが、最低契約期間・中途解約時の扱い・成果が出なかった場合の見直し条件は、契約前に必ず書面で確認してください。アクセルAIは月単位の契約で、期間の縛りはありません。

まとめ: 金額でなく「時間と成果物」で選ぶ

AI顧問・AIコンサルの費用相場は月5〜100万円超と幅がありますが、時間単価に割り戻せば1.3〜3.3万円程度のレンジに収まります。差を作っているのは、月額に含まれる稼働時間と成果物です。

相見積もりを取ったら、金額の隣に「月の稼働時間」と「残る成果物」の2列を書き足してください。それだけで、比較になっていなかった見積もりが比較できるようになります。自社にとっての適正価格は、相場表よりも「自社に何が足りないか」で決まります。

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出典

  • 独立行政法人中小企業基盤整備機構「中小企業のAI等の利活用に係る実態調査」(2026年3月公表/調査期間2025年11月17日〜12月12日、n=1,647)調査結果のポイント(PDF)
  • 商工組合中央金庫「中小企業の生成AIの利用にかかる調査(2026年1月調査)」(2026年3月31日公表)調査結果(PDF)
  • 月額・稼働時間の目安は、各社の公開料金および当社が相見積もりで確認した水準にもとづく編集部の整理です。

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