AI導入の稟議では、対象業務、変えたい状態、費用の前提、検証後に決めることをそろえます。まだ試していない効果は仮説として書き、確認済みの事実と分けます。まず検証する予算を求めるのか、確認した結果をもとに利用を広げる予算を求めるのかも明示してください。

この記事は、一つの候補業務について予算提案を作る経営企画・DX担当者向けです。以下の表はアクセルAIが提案する整理方法です。複数の候補から優先順位を決める段階は、全社AI活用のロードマップで扱っています。

今回、何を承認してほしいかを先に書く

「AIを全社導入したい」では、決裁する人が今回の支出と将来の支出を分けられません。対象部署、対象業務、実施する作業、上限となる範囲、次に報告する時点を書きます。接続の可否を調べる段階と、検証済みの仕組みを運用する段階では、依頼する成果物も変わります。

検証の予算なら、何を確かめれば追加投資を判断できるかを記載します。本番化の予算なら、検証で分かったこと、残る条件、運用を引き受ける人を添えます。調査・試作の完了だけで利用拡大が自動的に決まる計画にはしないようにします。

期待する変化を、現状と確認方法へ結びつける

時間を減らしたいなら、どの工程の、誰の時間かを書きます。AIによる生成時間だけでなく、入力資料の準備、出力の確認、修正、やり直しまで含めて比べます。品質を変えたいなら、誤りや差し戻しなど、現在記録できるものを選びます。

Microsoftのエージェントの効果測定ガイドも、利用状況を業務成果へ結びつけ、理論的な時間削減だけで価値を説明しないよう指摘しています。製品側の推計や他社の成果を、そのまま自社の効果として稟議に置かず、自社で確認する条件を示します。

空いた時間を別の仕事に使うことと、支払う費用が減ることは別々に記載します。時間単価で換算した参考値を置く場合は、その計算前提と、実際の支出削減を伴うかを明示します。売上の変化には他の施策も影響するため、根拠を説明できない増収を確定効果に含めません。

稟議資料では、事実・期待・未確認を分ける

次の表を、自社の稟議様式に合わせて使ってください。数値を埋めることだけを目的にせず、誰が何を確認するかを残します。

表は横にスクロールして確認できます。

AI導入の稟議にそろえる判断材料(アクセルAIの整理案)
記載する項目根拠として用意するもの未確認なら決めること
今回の承認範囲対象部署・業務・作業・費用の範囲検証までか、本番運用までか
現状と困り事業務手順、件数、確認込みの時間、品質記録する人・期間・比較条件
期待する変化仮説と実測の区別、改善の見込みの根拠期待を確かめる方法と判断者
実施に必要な条件データ、利用許可、契約、接続、社内担当確認する部門、担当者、期限
総費用初期費用、利用料、運用・教育・改善工数見積もりの対象外と増額する条件
比較する選択肢現行手順、既存製品の設定変更、追加開発同じ範囲で比較するための不足情報
検証後の判断継続・拡大・見直し・保留の条件判断日、判断者、追加支出の承認範囲
運用と停止時対応担当、費用監視、代替手順、残る問題利用を止める人と再開を判断する人

見積もりは、利用と運用の前提をそろえて比較する

開発費の見積もりと、ライセンス費だけの見積もりを合計金額で比べても、判断材料になりません。対象業務、接続先、環境数、利用者、利用頻度、評価、公開後の対応をそろえ、含まれる作業と追加になる作業を確認します。社内の業務担当者や管理者が使う時間も分けて記録します。

利用量で変わる費用は、普段の利用に加えて、テストや再試行、繁忙時をどう見込むかを決めます。たとえばCopilot Studioの容量管理には、月次上限の反映が即時でないことや、呼び出すフローは別に扱われる条件があります。上限設定だけを根拠に、全費用が指定額で止まると説明しないようにします。

構築費・固定費・従量費・運用工数の整理は、AI実行基盤の費用整理表も使えます。

効果が未確認なら、確認する範囲と次の支出を分ける

設計用の例として、問い合わせ回答の下書きを支援する計画を考えます。準備・作成・確認・修正にかかる現在の時間を記録し、同じ種類の問い合わせで試します。下書きが速くなっても、確認負担や誤りが増えた場合は、参照資料や対象範囲を見直す条件にします。これは仮想例で、実績値ではありません。

必要なデータを使えない、結果を確認する担当者を確保できないなど、前提が満たせない場合は、調査や条件整備へ戻します。追加投資の判断には、試作そのものに加え、確認記録、残る問題、費用の見込み、運用担当をそろえます。

AI活用テーマ判断シートをダウンロード(CSV)。期待する変化、前提、検証、保留条件を整理する既存の記入用シートです。導入後の記録方法は、業務成果の測定方法で説明しています。

導入後の測定や手順の見直しは、AI活用の定着・改善支援で相談できます。

何を根拠に予算提案すればよいか、整理したい方へ

検討する業務、経営から求められている判断、分かっている費用と未確認事項をお聞かせください。AI活用構想・推進支援で、検証の範囲と判断材料を整理します。支援方針はこちらで確認できます。

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